私は、京都で生まれ23歳で大阪に移りました。大阪でできた友達は、私が京都生まれだと知ると口を揃えて「いいなぁ」と言います。「京都の何がいいの?」と聞くと「そりゃぁ、1年中素敵な景色があってお上品だし、食べ物とかも美味しそうだし。


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なんといっても京都は、日本を代表する観光地だし」と、言います。京都に住んでいるときはなんとも思いませんでしたが、大阪に来てそんな気持ちも少しわかるようになりました。


春になれば「お花見のおすすめスポットは?」と聞かれるし、夏は夏で「京都の夏は、やっぱり川床?おすすめのお店は?」と尋ねる友人も多いです。


そして秋になれば「京都の紅葉の穴場は?京都人のおすすめは?できれば美味しい店のあるところを教えて!」と、人をまるで京都の観光大使のように思っているのでしょうか?ほんとに色々尋ねられます。


京都生まれで京都育ちだからといって、京都のことを全部知っているわけではないのに、と思いながら観光ガイドを調べたことさえあります。


今は、秋。京都は紅葉で色づいて綺麗だろうなぁと、故郷を思います。若いころは、ファッションやかっこいい男の子、ディスコ・・って今はないのですね。


とにかく、そんな派手なものばかりに興味があり、地元京都の紅葉のすばらしさには気づきませんでした。ようやく私も、花や紅葉、自然の美しさを感じられる年齢になったということでしょうか。


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よし、こうなったら京都生まれのプライドをかけて誰も知らなおすすめ穴場スポットを見つけよう!そんな意気込みを持ちました。しかし、家でじっとしていて穴場が見つかるはずはありません。


テレビや雑誌、ネットで「京都の紅葉 おすすめ穴場情報」と載った時点でもはやそこは「穴場」ではなくなっているのですから。「穴場」というのは、知っている人が少なく、訪れる人も少なくなおかつ、どこよりも紅葉が綺麗。


そんな定義を自分で決めて、実家の墓参も兼ねて京都に出かけました。私がよく利用していたバス停に「錦林車庫前」というところがあります。京都以外の人は、あまり知らないかもしれません。


京都市バスの「錦林車庫」という車庫があるんです。たくさんのバスが集まるところです。若いころはこの近くによく行くライブハウスがあったのでこのバス停を利用していたのですが、実は、京都の紅葉名所で名高い銀閣寺や真如堂に近いのです。


歩いて回れる距離なんです。だから、このバス停を拠点にして、銀閣寺と真如堂を回ると2か所の紅葉が楽しめるということなのですが、私が言いたい「おすすめ穴場」はそんなことではありません。


実は、この錦林車庫でバスを降りて、銀閣寺のほうへ向かおうかなと坂を東に向かって歩いていたのですが最初の角に、とても鮮やかな紅葉を見つけました。


思わず足が止まり、見上げてしまいました。赤から黄色のグラデーションが、絵に描いたようで本物の紅葉とは思えないくらい綺麗な色なんです。


たった1本だけ、紅葉の木がある家の庭先に植えてあるようです。でも、普通の家ではなさそうです。門構えもしゃれているし、壁にはポスターなんかも貼ってあります。


「ここは・・・お店?カフェ?」ちょっと想像がつきません。でも、家主のセンスを感じさせるような創りです。家屋も庭も、紅葉も。その家から、初老の芸術家タイプの男性が出てきました。


「いらっしゃいませ」「あ、すみません、紅葉があんまり綺麗なので見とれていました。素晴らしいですね」「ありがとうございます。僕は京都の穴場だと、自分で決めてるんですよ」と彼は笑いました。


「ここは、お店ですか?」「うーん、僕の趣味でやってるギャラリーなんですよ。ライブとか、焼き物や絵の展示会なんかもやってます。あいにく、今は何もやってないんですが」「そうなんですか、本当に穴場ですね。友達に教えてもいいですか?」「どうぞ、どうぞ、イベントのお知らせをメールで出したりもしてますし、HPもありますので」と、彼はチラシをくれました。


さっそく帰ったら、メールを登録してみよう。自分の足で、とてもきれいな紅葉を見つけられたことにとても満足しました。やはり京都の紅葉は、自分の足で探すのがいいのかもしれません。


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